1.はじめに

氷川町立宮原小学校の校区は、熊本県の中央部、八代市の東北端に隣接し、北は氷川を境にして竜北地区に接している。本校区の総面積は10平方㎞、東西5㎞、南北4㎞、周囲17㎞となっており、東部山林地帯と中央の丘陵地帯、西部平坦地帯の三つに大きく区分される。本校の敷地の一部が日奈久断層の上にあり、平成28年熊本地震以降、保護者や地域住民の地震に対する関心が高まるとともに、令和2年7月の豪雨では、校区一部が数日間の断水となり、自然災害に対する防災・減災の意識も高まっている。

校区には、小学校1校、中学校1校、町営保育所、私立保育園・幼稚園が設置され、各界で活躍している先輩も数多く出し、教育尊重の気風も強い。また、地域ぐるみで「子どもを育てる」体制が整備されており、平成20年度からは、コミュニティ・スクールとして、地域の意見を取り入れ、連携・協働しながら取り組んでいる。

  令和2年度は、12学級、230名の児童が在籍している。

2.本校の防災教育

 本校において昨年度までも避難訓練や緊急時の引き渡し訓練等、防災教育に関する取組を行ってきていた。令和2年度・3年度に「防災教育推進校」の指定を受け、新たに全教科全領域で防災教育に取り組むこととした。その取組の柱は、1:授業の中で、災害に関する課題に対し、多面的・多角的な見方・考え方を働かせて対話を通して解決する場面を設定し、児童が主体的に判断・行動できる資質・能力が身につける、2:避難訓練等の学校行事において「めあて→実践→振り返り」を継続して取り組ませ、防災活動に対する意識が高める。3:地域とともに防災活動の実践と検証を行い、その活動を地域に発信し、児童・保護者・地域の防災意識を高めるである。

3.取組の実際~防災教育用アプリ「フィールドオン」を活用した取組~

(1)発見!まち歩きinみやはら~みやはらウォークラリー~

① 活動の目的

・校区にある史跡や文化財、施設などを見学し、郷土愛を高める。

・地域を歩くことを通して、危険箇所や安全、防災・減災対策が講じられている箇所に関心を持ち、防災意識の高揚を図る。

② 参加者

・全校児童230名 教職員26名 学校運営協議会委員、PTA交流委員会等

・児童はにこにこ班(1~6年生の縦割り班)で活動する。にこにこ班は全部で、16班。

③ 活動の様子   

・あらかじめ決められたコースを、部分地図を見ながらチェックポイントを回る。その時、周りの様子等に気を配り、防災・減災の視点で、「いいな」と思う箇所や「危ないな」と思う箇所をタブレットで撮影する。

・ウォークラリーのコースが8コースあるので各コースを2班ずつ担当し、2つの班は、そのコースを右回りコースと左回りコースに分かれる。

④ 活動後の感想とこれから

○自分たちの校区であるが初めて歩くところもあり、一人ひとりが、「自分の住むまち」を確認することができた。

○危険箇所だけではなく、防災・減災対策や安全対策が講じられている箇所にも気付くことができた。

○児童、学校運営協議会委員、PTAが一緒に取り組むことができ、防災の意識を高めることができた。

○防災教育用アプリ「フィールドオン」を初めて活用した。児童は、楽しみながら撮影していた。撮影する係、メモの記入の係る等の役割分担を事前に行っていたことで、活動をスムーズに進めることができた。

○今回児童が撮影した「まちあるき防災マップ」を効果的に活用していく方法を検討している。

(2)通学路の危険箇所~新1年生に伝えよう!安心安全な登下校~

① 活動の目的

・新1年生が安心安全に登下校できるように、通学路の危険箇所を調べ、教える活動を通して、最上級生としての自覚を高める。

・通学路の危険箇所さがしを通して、防災・減災の視点での対策にも関心を持ち、意識を高める。

② 参加者

・5年生児童40名 

③ 活動の様子

 ・地区を分担し3人組で通学路の点検を行う。危険箇所をタブレットで撮影し、コメントを入力する。

④ 活動後の感想とこれから

○防災教育用アプリ「フィールドオン」の活用が2回目だったので、児童は、スムーズに楽しみながら活動することができた。

○5年生の新1年生に向けての取組だったので、意欲的に活動していた。

○普段登下校で歩いている道だが、目的を持って改めて歩くことで、これまで気付いていなかった事に気付くことができた。

4.成果と今後の課題

○防災教育の研究を始めた1年目だった。各教科での防災教育の学習と避難訓練等の行事を計画的に実施することができた。その中で、防災教育用アプリ「フィールドオン」を活用した取組を行った。アプリの地図上で撮影した写真やコメントが表示されるので、児童にとって位置や撮影したもの等がすぐにわかり、学習のねらいに迫ることが容易だった。今後、今回の学習の発展系を考えながら、さらに効果的に活用できる教科・行事を洗い出し、活用していきたい。

 ○学習で得たデータ(写真等)等を効果的な活用とそれを用いた啓発活動等を考え、取り組んでいきたい。