1.ねらい

 これまでの防災学習や実際の災害経験を基に、児童一人一人が調べてみたい課題を見つけ個人やグループで学習を進めていく場面で、地域を知るフィールドワークや、防災活動をされている地域団体の方との交流、地域に住む方々へのアンケート実施などを通して、より実践的な防災・避難の知識を身に付けるとともに、備えとして今できることに焦点をあてながら、様々な角度から防災について考えることができる。

2.概要

(1)図書館の本やインターネットからの情報をもとに、自己テーマに沿って調べ学習

(2)上記(1)の学習より、「自分たちの地域では実際にどうなのか」「自分だったらどうするか」の視点に立ち、地域の方の生の声や経験談を聞いたり、実際の土地の様子を見に行ったりすることで、防災課題について更に学習を深める。

(3)学んだことを、家族や地域に発信し共有することで、学校の中での取り組みだけでなく、地域全体の防災意識の向上につなげる。そのために、防災動画を作成する。

※廣内先生(信州大学教育学部教授)の研究室の協力により、タブレット端末とそこにインストールされた防災教育用アプリ『フィールドオン』を利用する。

[調べ学習の中で共通した課題]

○水害の実際や、避難所での様子を知りたい。

○非常食ってどんなものが用意できる?

○地域の川や旧河道・土地の高低・避難できそうな場所について、実際にみてみたい。

3.児童の感想

・非常食について、レトルトやカップラーメンのイメージしかなかったけれど、袋調理という調理方法を知って、簡単で普段も練習できそうなのでぜひ家族にも紹介したい。

・水は飲むだけなく、料理をする時や手を洗う時など、生活の中でたくさん使っていることをすごく感じた。水の確保の大切さと断水した時の大変さも感じた。

・赤ちゃん、高齢者、障害のある方、ペットなど避難所に「行けない」「行かない」という人もいることを知った。また、そのような人たちにも支援がいくか心配になった。

・蛭川と神田川から水が溢れるなんて驚いた。川からだけでなく下水道や街の中の川から「内水氾濫」が起きることを知り、水害がけっこう身近な災害だなと思った。

・アンケート調査をしてみたら、冬はやはり温かい物が食べたくなる意見がとても多かった。食べられるものなら何でもいいと思っていたが、被害にあって精神的にも落ち込むし、復旧作業を毎日しないといけない中なので、少しでも元気が出る食べ物を用意しておきたい。「食」って大事だなと思った。

・防災グッズの用意ばかりに意識がいっていたけど、例えば家に一人でいた時に災害が起きることもあるので、事前に家族と話し合っておくことや準備も大切。

4.まとめ

 子どもたちは発災時に「一人だったらどうしよう」「衣食住に関して」ということを特に心配に思うことがわかった。より実践的な防災学習を考えた時、まずは既往災害(今回は主に水害)から得た教訓を学び、様々な角度からの「防災の引き出し」を準備しておくことで、万が一に備えることができるのではないかと考える。上記の学習を通して、地域における水害の理解を深めることができ、命を守るために決断し行動する力を高めていくためにも家庭や地域とともに学ぶ防災学習をこれからも継続していきたい。