1はじめに

 伊那市は長野県の南部に位置する市である。市の西側を天竜川が縦断しており,多くの支流が流れ込んでいる。今回実践を行った伊那市立東部中学校はこの天竜川に注ぐ支流の一つである三峰川(図2)の左岸段丘上に位置している。学区の大半は三峰川の低位段丘にあたる地形であり,天竜川との合流地点も近い。また,学校周辺は急傾斜地であり,土砂災害も心配される地域である。山沿いの地域には土石流特別警戒地域なども多くある。

2学習の流れ

 今回の防災学習は,信州大学自然地理学研究室の4年生であった伊藤さんの卒業研究のフィールドとして大学から提案いただいて実施した。実際に実践を行った池田がこの研究室の卒業生ということもあり,このような学習がスタートした。

6~9月

 実践を行うにあたっての単元構想を伊藤さんから提案していただき,大きな単元の流れを考えた。どのような映像や写真を生徒に提示するのか,何を考えさせるのかなど,具体的な生徒の反応をイメージしながら考えた。

 同時に,学習に使う資料収集を行った。河川事務所などに保管されている,洪水時の写真等も資料として収集した。

10月

 アプリにおとす地図の準備や,iPadへのアプリのインストールを進めた。また,伊藤さんとフィールドワークの下見を行い,どのあたりを,どういった目的で見させるのか考えた。

11月~12月

 後述の単元展開のように,学習を進めていった。学習展開で留意したことは,フィールドワークに向けての視点を持たせることである。校外での学習をただ楽しいだけで終わらせることがないように,見てくるための視点をもたせるように指導した。