3単元展開

これまで,単元を構想して防災学習してきたことがなく,生徒の意識に防災というものはほとんどないと考えられたため,身近な地域に対していかに切実感をもたせながら学習を展開していくのかが課題であった。そこで,次のような授業展開を構想した。

令和元年の台風19号水害の映像や写真を用いて,河川の氾濫について学ぶ

千曲川の氾濫によって浸水被害にあった長野市立豊野中学校の様子などから,水害について知る時間を設けた。また,土砂災害も同様に,土石流がどのようなものなのか,動画を見せることで,イメージを持たせることにした。

②身近な地域に潜む危険箇所,安全箇所を考える

伊那市が公開しているハザードマップを用いて,中学生の視点で危険箇所や安全箇所はどこか考える時間を設けた。また,三峰川堤防に多く見られる霞堤についてもここで触れ,先人たちの知恵についても扱うことにした。

③フィールドワーク

今回は,信州大学とNPO法人DoChubu(ドゥチュウブ)が共同開発したField ON!というアプリを用いて実践した。

フィールドワークは二手に分かれて行った。水害について調査するグループは三峰川の堤防沿いで,土砂災害について調査するグループは手良地区でフィールドワークを実施した。三峰川堤防沿いは,三峰川で1000年以上に一度発生する降雨による洪水で浸水が想定される区域に学区の3分の1ほどが含まれている。また,手良地区は土石流の土砂災害警戒区域や特別警戒区域に含まれる地域がたくさんある。

④フィールドワークの結果を受けて,災害から身を守るためにはどうしたらよいか考える

 フィールドワークの結果を互いに見合い,自分の身を守るための行動について考え合った。単元の最初に比べると,生徒たちの考えが具体的になってきた。今まで,遠い存在であった災害というものが,実際にどこが危険なのか現地で見てきたことによって,具体的な場所をイメージしながら考えを述べられるようになってきたと感じた。