5成果と課題

ⅰ 成果

 ①フィールドワークの有効性 中学校の学習でフィールドに出る場面は決して多くはない。しかし,今回のように事前に十分な準備をし,調査する範囲を最小限に絞っておけば,単元の中にフィールドワークを組み込んで学習が行える。そして,そのフィールドワークが生徒の意識に大きな影響を与えていることが今回の実践で明らかとなった。多くの生徒が実際にフィールドワークを行うことで,具体的な場面を想定しながら危険箇所や安全箇所を考えることができた。中学生でも可能な限り校外に出る場面を設定していくことが,具体をイメージした学習に繋がると感じた。

 ICT機器の活用

 今回Field ON!というアプリを使って行ったことで,フィールドワークで集めてきた情報を一気に共有することができた。限られた時間の中で効率的に行うことや,その時撮影した写真や見聞きした情報を忘れないうちにリアルタイムで記録できることはアプリを使うことのメリットの一つであると感じた。また,コロナ禍で自宅でのオンライン学習などになっても,アプリさえあれば,各々が自宅の周りを調べ,記録することができる。このような理由からICT機器を有効的に使うことが,充実した学習に繋がると考えた。

ⅱ 課題

 課題は,家庭学習との連動である。動画を見てくる,フィールドワーク後の修正作業を自宅で行うなどの活動が家庭学習でできれば,全員が集まる場面では,フィールドワークの結果を見て,議論する場面を十分に確保することができる。大切なのは,フィールドワークを通して感じたことを共有し,これからの自分の生活に活かしていくことであるため,家庭学習を有効に使っていきたいと感じた。 次年度以降は,こ可能であれば,今回実践を行った学級をチューター的な立場にして,学習を全校へと広げていきたいと感じた。

Ⅵ おわりに

 今回のような危険箇所を実際のフィールドで探す活動を通して,地域を身近に感じさせることが大切であると感じた。今回実践した学習は,自分が避難者としてどのような行動を取るべきなのか考えるきっかけになったと思う。この学習を1回で完結させるのではなく,今後も継続していきたいと感じた。

謝辞

 本研究・実践を進めるにあたり,信州大学教育学部の伊藤三津子氏(実践当時)にはカリキュラムの提案,資料収集などでお世話になりました。資料提供に関しては,NHK長野放送局,天竜川上流河川事務所に便宜を図っていただきました。Field ON! 操作手順,電子地図の準備等にはNPO法人DoChubuの落合鋭充氏にお世話になりました。フィールドワーク当日は信州大学の学生に帯同していただき,フィールドワーク対象地域までの送迎は,伊那市教育委員会ならびに伊那市総務課にお願いし,バスを用意していただきました。多くの皆様のご協力によって今回の実践が実現しました。ありがとうございました。

文責:伊那市立東部中学校 教諭 池田一貴