学校防災アドバイザー派遣・活用事業の取り組みについて -防災マップ作りを中核に据えた本校防災教育における 学校防災アドバイザーの関わり(2年目) -(飯綱中学校)
1.はじめに
「この山とともに生きて」という一節で始まる校歌に象徴されるように,本校の生徒たちは日々,飯縄山をはじめとする恵まれた自然に囲まれながら学校生活を送っている。
本校では,生徒が主体的,創造的に生活し,学ぶ楽しさを味わっていくことを願い,「自由・友愛・剛健」を学校教育目標に掲げている。総合的な学習の時間(いいづなタイム)では,生徒が地域の「ひと・こと・もの」に関心を持ち,自分と地域のつながりを見つめ,地域の一員として未来を担っていこうとする生徒の育成を目指し,発達段階に応じて,「地域に学ぶ(1年)」,「視野を広げる(2年)」,「地域に発信する(3年)」ことができる授業作りに取り組んでいる。
2.飯綱中学校の防災教育について
平成26年度から生徒会が中心になり,東日本大震災で原発事故が起こった福島県をひまわり里親プロジェクトの活動を通して支援してきた。しかし,学校内外の取り組みとして定着したものの,東日本大震災で被災された方々の心情を考えることや,自分自身が防災意識を持ち,「自分の命は自分で守る」という意識を高めるまでの学習には至っていなかった。
そこで,昨年度から,1年生の後期いいづなタイム(20時間)では,東日本大震災で被災された方々の心情に触れるとともに,地域や自然を見つめ,防災のためにどのような取り組みをすればよいのかを考える学習を行っている。
この学習では,学校防災アドバイザーの指導のもと,防災学習支援用ソフトウェアを活用した防災マップ作りを行っている。生徒はiPadを持って地域のフィールドワークを2回行い,自分が住む地域にある危険箇所や災害時の避難場所の写真を撮り,Web-GISを利用して地域の防災マップを作成していく。防災マップ作りを通して,生徒が災害時に自分の命を自分で守るための適切な行動について理解を深めていく。
このような防災学習を通して,生徒が防災という観点から地域を見つめ直し,防災意識を高め,災害時の思考力・判断力を身に付けることを願っている。
指導計画
段階 |
時 |
学 習 内 容 |
出会い |
1 |
○防災学習「震災~故郷への思い~」のオリエンテーション |
2 3 |
○木村紀夫さんの講演会(地域の方,保護者も参加) ・木村さんの家族やふるさとへの想いを聴く。 |
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防災マップ作り |
4 5 |
○信州大学廣内教授の講演会「飯綱町の防災マップを作ろう!」 ・防災マップとは何か,どのように作っていけばよいのか知る。 |
6 7 |
○フィールドワーク①(信大生,飯綱町社会福祉協議会の協力) ・自分の地区で,グループごとにフィールドワークを行う。 ・地震,水害,安全の観点で調査する。データはタブレットに入力する。 |
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8 9 |
○フィールドワークの振り返り①(信大生の協力) ・DoChubu 落合さんからデータの活用の仕方を学ぶ |
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10 11 |
○フィールドワーク②(信大生の協力) ・フィールドワーク①の振り返りをもとに,さらに情報を収集する。 |
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12 13 |
○防災マップ作り(信大生の協力) ・Web-GISを利用して,防災マップを作成し,防災という観点から自分たちの地域の課題を発見する。 |
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14 15 |
○発表会準備 ・各グループ,地区の課題を提言としてまとめ,発表準備をする。 |
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16 17 |
○学年学習発表会(信大生,社協の方の参観) ・自分たちの地域の防災について,提言を発表する。 |
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発信 |
18 19 |
○保護者への学習発表会準備 ・学年発表会の反省をもとに,より良い発表の仕方を考える。 |
20 |
○学習発表会 ・防災学習の成果を地域,保護者に発表する。 |