防災マップ作成の実施記録(熊本県益城中央小学校)
熊本県益城中央小学校 3年生1組34名 2組35名 計69名
指導者 教諭 2名 支援員等 3名
報告者 益城町教育委員会 柴田敏博
1 学校の概要
益城中央小学校(全校児童451名)は、平成24年から熊本県教育委員会の研究指定を受け地域と共に創る熊本版コミュニティ・スクール推進事業を推進し、平成26年度からは文部科学省指定コミュニティ・スクール導入促進事業を推進している地域に開かれた学校である。
2 昨年の実践(紙媒体で実施)
昨年度は、3年生(70名)が総合的な学習の時間で「防災・復興マップ作成探検」というテーマを設定して取り組んだ。実際の探検は令和元年10月21日(月)に校区を7方面に分けて、スクールバスも使い、広い校区全体を作成した。また、学校運営協議会(コミュニティスクール)を活用して、地域の方々にもたくさん参加していただき、安全面の配慮を行った。
10月25日(金)一堂に会し、地図にまとめる作業を行い、最後に発表会を行った。
実際の子どもたちの作業の時の様子は、模造紙に地図を拡大して書く作業に難渋していた。さらに数日時間が経過しているために(写真の印刷に時間がかかるためどうしてもタイムラグが生じる)撮影した場所の記憶が曖昧で、大人も混じって話し合い、記憶をたぐっていたが、不正確となってしまった。
3 今年の実践(Field ON!で実施)
益城町防災教育年間計画の中で防災マップ作りは、4年生の位置づけであるが、益城中央小学校では、例年3年生の社会科と連携する形で進めており、今年度もその予定であった。
しかし、昨年度末からの新型コロナウイルス流行に伴う4・5月の休校や3密を避ける学習活動の制限のため、防災マップ作りは大幅な変更をせざるを得なかった。
始めの予定は2学期であっったが、実施時期の検討をする中で3学期になっていた。十分な活動を経験させることはできないが、何らかの活動は体験させたいと、規模を縮小して、実施することとした。
地図のデータについては、益城町教育委員会の手持ちのLTE仕様(docomo)iPadをテザリング可能に設定し直し、竹内研究室からお借りしているField ON!がインストールされているiPadとペアで使うこととした。
2月12日(金) 朝9時前に、1組(北方面)、2組(南方面)の二方向に分かれて出発した。
安全な箇所、危険な箇所については、事前学習しているものの、日頃自分たちが何気なく目にしている風景の中から、該当する場所を切り出す作業は、3年生にとってはなかなか難しかったようだ。指導者からの、注意をうながす言葉により、気づく子どもが多かったように感じる。4年生の社会科学習につながる内容だが「消火栓」のマンホールには全ての班で良く気がついていた。
途中木山神宮周辺で、送受信状態が悪くなり、撮影した後の送信ができず「メニュー」が表示されないような状態が長く続いた。そのため、撮影チャンスを逃したり、撮影したはずなのに保存されていない写真もあったりしたようだ。
2時間程度の校区探検の後、学校に戻り休憩。その後子どもたちで話し合いながら、キャンプションの追加や修正を行った、
移動をしながらの入力だったために、「安全」・「危険」を間違って分類した班もあった。その訂正が分からずに、悔しがっていた班もあった。
2月15日(月)の午後、発表会を行った。学校周辺を南北で分けているために、それぞれ学級の半数を入れ替えて行った。
アップルTVを介して、自分たちの撮影した写真を大きく提示、その写真を撮影した場所と意図を説明し、自分たちの考えを説明することで発表は行われた。
学校の周りという子どもたちが慣れ親しんだ場所であったが、写真で示すことでより分かりやすかったように思われる。学校の周り限定ではあったが、危険箇所を察知する能力の育成には十分役立ったと考える。
益城中央小としては、「復興マップ」も意図して作成しており、今後の継続に期待したい。