7.課題

▼各教科活動との関連性・年間指導計画の見直し  今回は新規授業として計画したこともあり、各教科との連携は授業計画段階では見通しをもてていなかった。しかし、2学期からは授業自体の見通しをもてたことで、算数(統計処理)・国語(表現)・理科(自然災害・治水対策ハザードマップの作成)・社会科(情報・防災)・道徳科(節度、節制)などとの連動することができ、時数の確保等にもつながった。
▼発信  予定では学び校の外での発表することで、児童の意欲向上や小谷村全体へのアピールにもつながると考えていた。今回は校内の学習発表会という形で終わってしまったが、校内外ICT化がさらに進む令和2年度以降では、ZOOM等のオンラインでの発信というのも考えられる。
▼校内での引継ぎ  一過性の学習単元にならないようにするためには、学校と連携団体・事業者との密な連絡が必須である。授業した担任がいないと実現しないタイプの授業ではなく、誰でも実施できるレベルにしなければいけない。教科書等のない総合においては、指導計画を確実に引き継ぐことや年度初めに外部指導者との打ち合わせ。さらには、授業全体を調整するコーディネーターの整備が急務である。

8.最後に

 私は平成30年度まで東京都の小学校教員として勤務していた。(日野市8年間、小笠原村5年間) 令和元年度(平成31年度)からは縁あって小谷小学校での勤務となった。東京都で実践してきたPBL型学習の優れた部分、そして小谷小学校の優れたICT環境。さらには、小谷村という自然豊かな地域、児童の神城断層地震の経験。そして、信州大学廣内研究室の手厚いサポートという複合要素が重なり合って、今回の実践となった。

 実践をするにあたり、様々な課題も露呈したが、それよりも子供たちの学びの深まりが見えた学習であったことはまちがいない。ある児童は、TVの取材時に「ハザードマップのことを日本中に広めたい」と発言した。今回の学習を通して、感じたことを端的に表した言葉だなと私は感じた。

 神城断層地震に限らず、長野県内、日本全国で大地震に対する備えが進んではいるのは周知の事実ではあるが、天災は忘れたころにやってくるという言葉を大事にして、さらなる実践に取り組み、持続可能な街づくりに貢献できる人材育成をこれからも学校現場から行っていく。

実際のアプリ画面の一部。集められたデータはオンラインマップ上に表示される仕組み。
動作が軽いので、ポイントの拡大・縮小、コメントの表示が素早く行えるなど、授業にリズム感が生まれる。

文責 令和元年度 小谷村立小谷小学校 5年担任 清水 智