1.ねらい

 本校は、浅間山の火口から8kmの位置にあり、コロナ禍を経て児童数が増加しました。しかし、学校から近い浅間山について十分に知らない保護者や児童が多くいます。そこで、浅間山の魅力を知るとともに、起こりうる災害について学び、自分や大切な人が安全に災害を乗り越えるためにはどうしたらよいかを考え、発信できる力を育むことを目指しました。 本校の学区域には8か所の一時避難所がありますが、その中には融雪型火山泥流の影響を受ける地域も含まれています。特に学区の両端に位置する地域は被害の可能性が高いことが分かりました。災害発生時には、どこが安全でどこが危険なのかを正確に知ることが命を守る鍵となります。そのため、児童自身が地域の防災情報を整理し、発信することの重要性を学ぶことがこの学習の大きな目的の一つとなりました。

2.学習の概要

(1)修学旅行:池袋防災館・そなエリア東京

【池袋防災館】

  • 地震体験(震度6強まで)
  • 消火活動
  • 火災時の煙からの避難体験

【そなエリア東京 ~東京直下72h TOUR】

  • 災害後72時間を生き抜く知恵を学ぶ防災体験
  • 防災アイデアの展示見学

 6年生の1学期、総合の時間の中で「実際の地震ってどんな感じなの?」「災害の時は何日間くらい耐えればいいのかな?」といった疑問の声が上がりました。そこで、災害を疑似体験できる施設「池袋防災館」と「そなエリア東京」を訪れました。

 地震体験では震度6弱の揺れを体験し、地震発生時の行動を学びました。「走って逃げようと思っていたけど、立つことすら難しい」「救助が来るまでに3日かかると知り、自分の防災バッグを準備しようと思った」「電柱が倒れる危険があるから、むやみに動くのは危ない」といった気付きがありました。子どもたちは想像以上に厳しい状況を体感し、「どうやったら生き延びることができるか」を真剣に考え始めました。

 また、「備蓄がなければどれだけ大変なのか」「家族と事前に避難場所を決めておくことの重要性」について話し合う場面も見られました。


(2)ハザードマップとフィールドオンを活用した防災マップ作成

 修学旅行後、自分たちの地域の危険について興味を持った子どもたちは、ハザードマップを活用して軽井沢の防災リスクを調べました。洪水の危険は少ないものの、土石流や融雪型火山泥流のリスクがあることが分かりました。

 また、ハザードマップに載っていない危険もあるのではないかと考え、子どもたちは「フィールドオン」を用いて、自宅から避難所までの経路を実際に歩いて調査しました。その結果、

  • 学区には未使用の別荘や老朽化した建物が多く、倒壊すると避難経路を塞ぐ可能性がある。
  • 林道沿いの歩道は側溝の蓋が割れていたり、土で覆われていたりしており、避難時に危険。 といった問題が発見されました。

 「避難所まで遠回りになるけど、安全なルートに変更しようと思った」「今までは古い建物を気にしていなかったけど、地震のことを考えると危険かもしれない」といった意見が出ました。さらに、家庭で保護者と避難経路について話し合った児童からは、「避難経路を決めてくれてありがとう!」と言われたことが嬉しかったという報告がありました。

フィールドオンを使っている様子